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2020年09月11日 (金)
スタッフのつぶやき

 朝、何気なくかけたCDから流れてきたハンドベルの演奏に、25年以上前の記憶が鮮やかによみがえった。

 私は、人生2度目の大学生活を終え社会福祉士を取得しソーシャルワーカー(SW)として愛知県で最初に設立された西尾老人保健施設に入職した。
介護保険施行前のこと・・。

 施設長の米津和幸氏は、元軍医で、70歳を過ぎていたがとてもエネルギッシュな方だった。
独特の考え方で、事務管理部門は、受付けの障害雇用の女性一人を除き、全てSW。
そしてデイサービスの送迎も、直接利用者家族と関わるからとSWと看護師長の仕事だった。

 毎朝、SWは全ての新聞の福祉関連記事に目を通し、順番で施設職員向けに毎日記事を書き回覧する。
そして、私の机の上には常に、米津施設長が思いつく様々なアイデアのメモが置かれていた。
その中から、横浜の大学の研究者と連携し認知症の為の“高度光療法”に取り組んだり、音楽療法に取り組んだりした。
その頃、高齢者には童謡や演歌を歌わせたりするのが一般的であったが、西尾老健では、フラを取り入れた。
柔らかなハワイアンの音楽にのって踊るフラは高齢者にとても適している。
鮮やかな色の生地でマネキンに着せる技術を介護職が学んできて車椅子の高齢者にも上手に着せる。
頭には綺麗な花を付け化粧する・・・。
“化粧療法”も兼ねているのだ。利用者の顔がぱっと華やぐ。

 音楽好きの米津施設長は、元オルガニストであった私に、400万円以上する本格的なハンドベルを購入すると言い出し、何とか説得して上質なミュージックベルに変更し、デイの利用者と職員でミュージックベル隊を編成。
メロディーをOTの指揮で利用者が担当し、重奏的な部分を職員が担当した。
施設長の指示で西尾市の文化協会に入会し、文化祭にも出演。
チャリティー音楽会にも参加。正に高齢者の社会参加である。

 デイの昼食をお弁当にしてもらい、会場の芝で会食し、演奏会へ、利用者達の笑顔しか思い出せない。
皆活きいきとしていた。

 利用者への『ワゴンサービス』と言って、一律的なサービス提供ではなく、様々なサービスから利用者自身で選べるよう工夫していた。
犬猫との触れ合い、子供たち、お話し会、お寺の住職の説法、お経、映画等々・・・。そんな米津施設長も、私が浜松に引越し数年後亡くなった。
同じ法人に、全国的に有名な特養『せんねん村』がある。

堂元京子 記

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